学校プールの消毒槽(腰洗い槽)は必要?
夏も盛り。
プールが恋しい季節ですね。
残念ながら、
イギリス北部は、夏でも水温が低く、
屋外プールでの水泳や海水浴は、
ほとんどできません。
もっぱら屋内プールです。
昔、同級生と一緒に入った、
学校プールを懐かしく思い出します。
ところで、
学校プールに入る前には、
必ず氷水のような、
浅い消毒槽・腰洗い槽に入らされましたよね。
ご親切にも、
かがまないと通れないように、
頭上にバーのようなものまで設置してあって、
絶対に腰までつかるようになっていました。
この消毒槽、現在は、
使っている学校もあれば、
使ってない学校もあるのです。
もし使っても使わなくても、
どっちでもいいものなら、
冷たいから入りたくないですよね。
しかも皮膚によくないです。
そこで今回は、
この学校プールの消毒槽について、
調べてみることにしました。
それでは一緒にみていきましょうね。
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今学校プールの消毒槽は必要?
結論
プールの水質管理ができている場合消毒槽は必要ない
では、この結論に至った経緯を以下で説明していきますね。
消毒槽には何が入っている?
プールの水・消毒槽には、
以下のうちのいずれかの薬品が使われています。
次亜塩素酸ナトリウム
家庭用に市販されている液体の塩素系漂白剤や、
殺菌剤(洗濯用、キッチン用、ほ乳ビンの殺菌用など)などに使用。
水溶液はアンチホルミンという名称で、
食品添加物としても使われている。
次亜塩素酸カルシウム、
「さらし粉」
クロールカルキ(Chlorkalk)、
カルキ、または塩化石灰ともよばれる。
水に溶けて酸化力が強く、
漂白、消毒に使用。
塩素化イソシアヌール酸
水泳プール水・浄化槽放流水の殺菌消毒、
公衆浴場水・台所・浴槽の洗浄、
クレンザー用、家庭用および業務用漂白剤、
食品環境衛生剤、酸化剤、表面加工用酸化剤。
では、これらの薬品はどれくらいの濃度で、
プールや消毒槽に投入されているのでしょうか?
消毒液の濃度は?
以下は、
水道水、プールの水、消毒槽に使用されている薬品濃度です。
水道水
遊離残留塩素濃度 (0.1ppm~1.0ppm)
プールの水
遊離残留塩素濃度(0.4ppm~1.0ppm)
消毒槽
遊離残留塩素濃度(50ppm~100ppm)
PPMは、1㎎/Lとほぼ同じ
遊離残留塩素とは、
水に含まれる有機質(汚れ・菌など)の、
殺菌や酸化反応に有効に作用する塩素化合物のこと。
遊離残留塩素の濃度は、
0.4ppm以上が維持されてさえいれば、
細菌類の増殖を抑え、
プールでの消毒効果があることが、
実験的にも経験的にも確かめられています。
たとえその濃度が1.0ppmを超えたとしても、
殺菌効果はほとんど変わりません。
濃度が高くなることによる悪い面の方が多く、
高濃度になると目や皮膚、呼吸器官に刺激を与えます。
このため、
1.0ppm以下の使用が望ましいのです。
つまり、
「プールの水の遊離残留塩素濃度を0.4ppmに維持しさえすれば消毒槽は必要ない」
ということになります。
文部科学省と厚生省の見解
では、このような事実に関して、
厚生省や文部省は、どのように考えているのでしょうか。
厚生省
1992年4月28日「遊泳用プールの衛生基準」の改正
「最近のプールの浄化能力の向上を前提とすると、腰洗い槽がなくても浄化の観点からは問題がないと考えられる。よって、腰洗い槽については原則として不必要である
(参考:厚生省-遊泳用プールの衛生基準)H4.4.28
妥当だと思います。
では、文部省は?
文部省
(大意)入れ替え式ではなく、循環ろ過装置を使用しているプールや、塩素の自動注入などで水質管理ができている場合、必ず腰洗い槽を使用しなければならないというわけではない。各学校長の判断に任せます。(文部省-学校環境衛生基準) H4.6.23
なんだか煮え切らなくて、
学校長に投げてしまっていますね。
今、消毒槽を使っている学校や、
使ってない学校が両方存在するのは、
これが原因だったのですね。
なぜ、はっきり廃止と言えないのか…?
プールの消毒槽の歴史
文部省は、1960年代から公立学校のプール建設を進め、
当時30%以下だった普及率が、
90年代には80%以上となりました。
この建設と一緒に、
腰洗い槽も建設されたわけですが、
今更必要ないといわれても、
税金の無駄遣いと言われてしまいかねませんから、
文部省もここは慎重になるわけですね。
60年代、学校プールの開設当時は、
循環型の浄化槽施設もなく、
自宅にお風呂もない状況でした。
このため学校プールの衛生状態は悪く、
子供の数も多かったですから、
短時間で強力に殺菌できる消毒槽は、
その存在意義があったわけです。
つまり、現在の衛生状態とは、
全く違う事情でできた消毒槽を、
そのまま使い続けているというわけです。
まとめ‐よくないことはやめたらいい
うちの2人の息子たちはアトピーです。
腰洗い槽や強い塩素の入ったプールの水に触れると、
目に見えて悪化します。
アトピーの皮膚によくないのは体験済みです。
また、この使用した、
必要以上に濃度の高い消毒液を廃棄する時にも、
環境問題が発生します。
よくないこと・効果のないことをやめるのに、
遠慮はいらないのにと思いました。
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