うなぎが絶滅危惧種に!その原因は?
一年で最もうなぎの消費が高まる
土用の丑の日がやってきます。
美味しいうなぎを味わいたい!
という方もたくさんいらっしゃることと思います。
私もうなぎが大好きです!
「鰻」という文字をおかずに
ご飯が食べれるくらいです。笑
でも、あの美味しいうなぎが
いつか食べられなくなるとしたら…!
考えるだけで悲しい
そんなニュースを耳にしました。
まあ、食べられないのは
100歩譲って我慢すればいいのですが…
(私は、食材が手に入らないため、
10年以上食べていません。涙)
絶滅してしまっては取り返しがつきません。
そこで今回は、
うなぎが絶滅危惧種に指定された
その原因について詳しく調査してみました。
日本の素晴らしい食文化、
うなぎ料理を守るために、
それでは一緒に見ていきましょう!
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IUCN(国際自然保護連合)レッドリスト 絶滅危惧種
2014年6月12日、
IUCN (国際自然保護連合・スイス本部)が、
うなぎ(Anguilla japonica 二ホンウナギ)を
絶滅の恐れがある生き物(絶滅危惧種)として
レッドリストに記載しました。
二ホンウナギの指定された
「絶滅危惧種」は、
絶滅の危険度の高いものから
4番目のカテゴリーです。
- 絶滅:Extinct (EX)
- 野生絶滅:Extinct in the wild (EW)
- 絶滅危惧IA類:Critically Endangered (CR)
- 絶滅危惧IB類:Endangered(EN)
- 危急:Vulnerable (VU)
このリストには
うなぎ漁をすると法律違反になる、
というような特別な
拘束力はありません。
けれども、
野生生物の国際取引を規制する
ワシントン条約は
IUCNの方針を参考にしています。
これはどういうことかというと、
今後うなぎがワシントン条約の保護対象となった場合、
うなぎを輸入するなどの商取引が
禁じられるかもしれないということです。
つまり、
中国や台湾からうなぎを輸入できなくなるということです。
うなぎはどれくらい減っているのでしょうか
ウナギの漁獲量の推移(図1)(クリックすると大きくなります)
(水産庁資料より作成)
1956年には2438トンだった漁獲量が
2013年には165トンにまで落ち込んでいます。
稚魚シラスウナギの漁獲量の推移(図2)(クリックすると大きくなります)
(FAO統計より引用)
ウナギ稚魚の国内漁獲量は1950年代は
年200トン以上ありました。
2012年までの3年間、
年に3~6トンと過去最低水準が続き、
2013年はさらに減少しました。
今年は5年ぶりに回復したものの、
引き続き右肩下がりで減少していることに変わりはありません。
二ホンウナギ激減の原因は?
IUCNは、ニホンウナギの激減の要因として
- 乱獲
- 河川・沿岸開発
- 海流の変化
を挙げています。
1.乱獲
つまり捕りすぎです。
世界のうなぎの
約7割を日本人が食べているのだそうです。
注:
もし、世界中の人がウナギのおいしさを知ったら
大変なこと(すぐ絶滅?)になりますから、
あまりうなぎの宣伝をしないようにしましょうね。
海外からのウナギの輸入状況(H24年/H19年)
【東アジア】
シラス(1.0t/0t)
シラス(1.0t/0t)
活鰻・蒲焼(75t/0t)
活鰻・蒲焼(17,879t/63,884t)
シラス(0.3t/0.09t)
活鰻・蒲焼(1,627t/16,471t)
H24年の中国と台湾の合計輸入量19.5千トンは、
国内生産量17.5千トンを超えています。
また
中国と台湾のH24年とH19年のそれぞれの数値を見ると、
輸入量が激減しているのがわかります。
つまり、
東アジアでもうなぎが捕れなくなっているということです。
近場から輸入できなくなったとなると、
今度は、
これまで輸入先国として登場してこなかった
フィリピン、インドネシア、オーストアリア、
アメリカ、スペイン、フランス、デンマークなどの国から
輸入するようになりました。
世界中のウナギを食べつくすことで、
絶滅の責めを日本人が負うことになってしまうかもしれません。
でもこの実績を見ると、
それも仕方がないかもしれません。。。
シラスウナギの漁(参考動画)
鹿児島県のシラスウナギの漁の様子を撮影したものです。
ウナギの稚魚シラスウナギは、養殖できません。
漁師さんたちが、
太平洋からやってくる稚魚を目の細かい網ですくいます。
こんなに間隔を詰めてすくったら
やってきたシラスウナギは
残らず捕まってしまうかもしれませんね。
2.河川・沿岸開発
鰻の生態にはまだわかっていない部分が多いそうです。
うなぎの産卵場所と日本にやってくるコース/産卵場所の変化(図3)
(水産総合センター資料より作成)
けれども、
最近になってマリアナ諸島
(グアム島などがあります)西方(図青マル)で
産卵することがつきとめられました。
孵化した稚魚は、上図の青い線のコースで
日本の沿岸にたどり着きます。
その後、たどりついた日本沿岸の、
河口や下流域で初期成長すると考えられています。
その後、上流にさかのぼり川で親になるもの、
上流と河口を行き来するもの、
沿岸部でそのまま成長するものなどがいるそうです。
いずれにしても、
沿岸部に河口堰などの障害物があると
川をさかのぼれず成長の妨げになるというわけです。
せっかく遠い太平洋のかなたから
日本の沿岸までたどり着いても
親になれないうなぎがいるということですね。
こンな風にして産卵数が減ることも
ウナギの激減の原因の一つとなってます。
太平洋を渡ってきたシラスウナギの映像
シラスウナギの実物をみてみましょう!
小さくて、けっこうかわいらしいです。
3.海流の変化
さて、マリアナ諸島(図青マル)西方で孵化した稚魚は、
北赤道海流から黒潮に乗って(青線のコース)
日本沿岸にやってきます。
小さいので、泳ぐというより海流に流されてくるのでしょうね。
ところが、
産卵場所の南下や、
太平洋沖に多く存在する中規模の渦のせいで
このコースにうまく乗れないことがあるのです。
稚魚たちは、南のミンダナオ海流に乗って
別の場所(赤の矢印)に行き、
死滅してしまいます。
これも、シラスウナギの減少の一因といわれています。
最後に 完全養殖の可能性
うなぎの生態は最近やっと解明されかけたところです。
もし、天然のシラスウナギからの養殖ではなく、
完全な養殖が可能になったら…
絶滅を回避できるチャンスは高まります。
実は、2010年に人工ふ化が初めて成功しています。
1万匹程までなら養殖可能なのだそうです。
ところが、
現在のシラスウナギからの養殖ウナギを
これに置き換えるとすると、
億単位の完全養殖が必要になるそうなのです。
ただしこの数字は、
食べ続けることを前提にしたものです。
しばらく食べずに育て続ければ
きっと持ち返すことができるのではないでしょうか。
愛するうなぎとウナギの食文化をみんなで守っていきたいものですね。
長文お付き合いいただきありがとうございました。
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